夫婦で新NISAをコツコツ積み立てながら、難しいお金の話をわかりやすく発信しています。
ニュースやSNSでよく目にする「日本人の平均貯蓄額」や「NISAの平均投資額」という数字。それを見て「みんなそんなに貯めているの?」「自分は平均以下だから遅れているかも……」と焦りや不安を感じたことはありませんか?
実は、お金に関するデータをみる際、「平均値」をそのまま鵜呑みにするのは非常に危険です。今回は、なぜ平均値に惑わされてはいけないのか、そして本当に参考にすべき数字と自分に合った投資額の決め方について解説します。
① 「平均値」が実態とズレてしまう理由
結論から言うと、「平均値」は一般的な普通の人の姿を表していません。
なぜなら、平均値は「全員の合計金額 ÷ 人数」で計算されるため、ごく一部の圧倒的な大富豪(極端に大きな数字)がいるだけで、全体の数字が跳ね上がってしまうからです。
小学生のクラスの背の順をイメージしてみましょう。もしクラスに1人だけプロバスケットボール選手のような超高身長の人が混ざっていたら、クラスの「平均身長」は一気に高くなります。しかし、それを見て「このクラスには巨人が多い」と判断するのは間違いですよね。これと同じ現象がお金のデータでも起きています。
本当に実態に近いのは「中央値」
データのリアルな真ん中を知りたい時に役立つのが「中央値(ちゅうおうち)」です。中央値とは、全員を金額順に一列に並べたときに、ちょうど真ん中に位置する人の金額のことです。極端な大富豪の数字に引っ張られないため、より私たちの実感に近い現実的な数字になります。
② データで見る「平均値」と「中央値」の驚愕の格差
実際に発表されている金融資産のデータを見てみると、平均値と中央値には驚くほどの差があります。
| 世帯 | 平均値 | 中央値 |
|---|---|---|
| 単身世帯(一人暮らし) | 約919万円 | 約130万円(約7倍の差) |
年代別(2人以上世帯)の金融資産の比較
| 年代 | 平均 | 中央値 |
|---|---|---|
| 20代 | 525万円 | 125万円 |
| 30代 | 1,096万円 | 311万円 |
| 40代 | 1,486万円 | 500万円 |
| 50代 | 1,198万円 | 700万円 |
| 60代 | 2,683万円 | 1,400万円 |
どの年代を見ても、中央値は平均値よりも大幅に低いことが分かります。「みんな何千万円も持っているんだ」と焦る必要は全くありません。
NISAの投資額も同じ
NISA(少額投資非課税制度)の口座数や買付額の平均データでも、「毎月約4万円を積み立てている」といった数字が出ることがあります。しかし、40代以下の半数以上は「年間40万円未満(月3万円以下)」の投資額にとどまっており、資金に余裕がある一部の層が平均値を大きく押し上げているのが実態です。
③ 平均値を見すぎることのデメリット
他人の平均値を基準にして投資や貯蓄を進めようとすると、以下のようなリスクが生まれます。
- ⚠️ 不必要な焦りや劣等感:「自分はダメだ」とネガティブな気持ちになってしまう
- ⚠️ 無理な生活設計:平均に追いつこうとして、今の生活を限界まで切り詰めて投資に回してしまう
- ⚠️ 途中で挫折(退場)してしまう:無理な金額で投資をしていると、市場が暴落したときの心理的ダメージに耐えられず、一番やってはいけない「損なタイミングでの売却・運用ストップ」を選びやすくなる
比べるべきは他人の平均ではなく、「過去の自分」と「自分自身の計画」です。
④ 自分に最適な「投資額」を逆算する方法
他人の数字が関係ない投資において、自分の基準は「将来どんな人生を送りたいか」から逆算して決める必要があります。
【シミュレーション例】老後に「年金+月5万円」が欲しい場合
65歳から毎月5万円(年間60万円)を資産運用しながら取り崩していきたいケースを考えてみましょう。
このように具体的なシミュレーションを行うことで、「なぜ毎月この金額を積み立てるのか」という明確な意味とモチベーションが生まれます。
まとめ:ぶれない投資の第一歩
お金のニュースに一喜一憂する必要はありません。「平均値」という誰のものでもない数字に惑わされず、自分自身のライフプランに合った「中央値的な現実」と「未来の逆算」を大切にしましょう。
自分だけの確固たる数字(計画)が決まれば、周囲の声を気にせず、安心して一歩ずつ資産形成を続けていくことができるようになります。
本記事中のシミュレーションは一定の前提条件(年齢・利回り・希望額)に基づく計算例であり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任において行ってください。
【参考情報】
・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」
・各種NISA口座データ(金融庁・各証券会社公表資料)
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