夫婦で新NISAをコツコツ積み立てながら、難しいお金の話をわかりやすく発信しています。
退職金を受け取った直後に、メインバンクから「ご相談したいことがあります」と電話がかかってきた——そんな経験、ありませんか?実はこれ、偶然ではありません。今回は、その電話の裏側にある仕組みと、銀行が勧めてくる「毎月分配型」投資信託の正体について、分かりやすく解説します。
① なぜ退職金が入ると、急に銀行から電話が来るのか
銀行は口座の動きを常にチェックしています。普段の給与とは明らかに違う、まとまった大きな金額(数百万〜数千万円)が振り込まれると、銀行側のシステムがそれを検知し、営業担当に情報が共有されます。
「お客様の資産状況に変化があったようですので、一度ご相談を」——これが、退職金受け取り直後に電話がかかってくる典型的な流れです。多くの方は「ちゃんと見てくれているんだな」と好意的に受け取りますが、その電話の本当の目的は、別のところにあります。
② 「老後の不安」を煽られていませんか?
電話や窓口での面談では、決まって次のような話の流れになります。
たしかに「年金だけで足りるか不安」というのは、多くの方が抱える本当の悩みです。だからこそ、この不安を入口にした営業トークは非常に効きやすい。ここで紹介されるのが、いわゆる「毎月分配型」の投資信託です。
③ 毎月分配型投資信託のしくみ。それは「たこ足配当」+重い手数料
毎月分配型は、その名の通り毎月決まった金額(分配金)を受け取れる投資信託です。一見「年金の補填にぴったり」に見えますが、ここに大きな注意点があります。
投資信託は株や債券で運用されているため、毎月決まった金額の利益が出るとは限りません。運用がうまくいかなかった月でも、契約上は決まった分配金を払い続けます。では、その「足りない分」のお金はどこから出てくるのでしょうか?
運用で増えたお金から払うなら問題ありません。しかし増えていない月・減った月でも分配金は払われ続けるため、知らないうちに自分の元本が毎月削られていくことになります。
これを、自分の足を食べて生き延びるタコの姿に例えて「たこ足配当」と呼びます。「毎月お金が入ってくるから得をしている」と感じがちですが、実際は自分の資産を毎月切り崩して、自分に払っているだけ——というケースが少なくありません。
たこ足配当の問題に加えて、もう一つ知っておくべきことがあります。それが手数料です。
銀行窓口で毎月分配型の投資信託を購入・保有すると、一般的に次のようなコストがかかります。
| 項目 | 一般的な相場 |
|---|---|
| 💸 購入時手数料(最初の1回) | 約 2.2%〜3.3% |
| 📆 信託報酬(保有中・毎年) | 約 1.0%〜2.0% |
| → 退職金1000万円なら、毎年約10〜20万円が手数料として引かれる計算 | |
毎月分配金を受け取って「得をした気分」になっている間も、裏ではこの手数料が静かに引かれ続けています。元本を取り崩しながら分配金を払い、その上で年間10〜20万円もの手数料を払う——これが「たこ足配当」の実態です。
銀行員も会社員であり、銀行も営利企業です。窓口で勧められる商品の多くは、銀行にとって手数料収益が大きい商品が優先される傾向があります。「銀行だから安心」「プロが勧めるから大丈夫」という思い込みは、一度疑ってみる価値があります。
④ では、65歳からインデックスファンドに退職金を入れてもいいのか?
「銀行はダメ、じゃあ自分で投資すればいいのか?」という疑問が出てくると思います。これは一概には言えません。状況によって答えが変わります。
- 65歳からでも、年齢的にインデックスファンドへの投資は問題なくできる
- 不安が大きいなら、無理にやらなくてもよい。投資は「やらなければならないもの」ではない
- もし毎月分配型のような商品を検討しているなら、同じリスクを取るならオルカンなど低コストのインデックスファンド(年間手数料0.08%程度)の方がまだ合理的
- 心配なら、退職金の半分は現金で保有し、半分だけインデックスファンドで運用するという折半案もある
- これまで投資経験が一切ない場合は、無理に手を出さず、今の年金と貯金で過ごす選択も十分にあり。慣れない状態で相場が下がると、慌てて売ってしまう「狼狽売り」をして損をする可能性が高いため
⑤ まとめ:銀行もビジネス。知識を持って自分の資産を守ろう
銀行員も銀行という会社のビジネスの中で働いています。「銀行だから」「プロだから」という肩書きだけで信用せず、提案された商品の仕組みとコストを自分でも確認する習慣を持つこと。それが、長年かけて積み上げた退職金を守る一番の方法です。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融機関・金融商品を批判・否定する意図はありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資判断・金融商品の選択はご自身の責任において行ってください。
【参考情報】
・各投資信託の目論見書・運用報告書(購入時手数料・信託報酬は商品により異なります)
・金融庁「高齢顧客への金融商品販売に関するガイドライン」
田舎からコツコツ積み立て中のSATUMANでした🌿
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